膠原病

混合性結合組織病(MCTD)


混合性結合組織病(MCTD)は、膠原病のなかでは新しい病気です。発症年齢は10~60歳代と広いのですが、とくに多いのは20~30歳代の患者さんです。
混合性結合組織病の特徴

いくつかの膠原病の症状が重なる

混合性結合組織病は圧倒的に女性に多い病気
混合性結合組織病は、いくつかの膠原病の臨床的な特徴が同時にあらわれる病気です。おもに 全身性エリテマトーデス(SLE)多発性筋炎強皮症などの症状が重なってみられます。1972年に、米国のシャープ博士によって初めて提唱された病気です。それまでも膠原病グループでは、1人の患者さんに2つ以上の膠原病が重なる場合があることが、古くから知られていました。膠原病の重なりは、 SLEと強皮症SLEと関節リウマチSLEと多発性筋炎、強皮症と 関節リウマチなどのように SLEとの重複が多く、これらは オーバーラップ症候群(重複症候群)と呼ばれています。複数の膠原病が重なるので、混合性結合組織病はオーバーラップ症候群の一種とも考えられるのですが、では、両者の違いはどこでしょう?

混合怪結合組織病の診断基準

オーバーラップ症候群は、SLEなり関節リウマチなり、確実に診断が確定できる膠原病が2つ以上重なります。ところが、混合怪結合組織病であらわれるのは、〝SLEのような〟、あるいは〝強皮症のような〟と表現される軽い症状で、はっきりと診断が下せない程度の症状になります。
ただし現在では、混合怪結合組織病でも、診断基準を満たす膠原病をもつケースがあることが明らかになってきています。混合性結合組織病が、ひとつの独立した疾病単位なのかどうかは、今でも議論が分かれるところです。1983年に作られた米国・リウマチ学会の分類では、混合性結合組織病はオーバーラップ症候群のひとつとしています。一方、日本では、完全に診断基準を満たす膠原病の重なりをオーバーラップ症候群とし、診断基準を満たす膠原病はあっても、それに重なるのが不全型の場合、あるいは不全型と不全型との重なりは、混合怪結合組織病と分類する考え方があります。厚生労働省が特定疾患に指定しているということもあってか、日本では、混合性結合組織病はひとつの病名として浸透するようになっています。

圧倒的に女性に多い病気

混合性結合組織病の日本での患者数は、膠原病のなかではもっとも少なく約5500人余り(2000年、特定疾患申請数)。発病の男女比は1対10をはるかに超えるといわれています。患者さんの90%以上が女性という、圧倒的に女性に多い病気です。

独自の自己抗体が特徴

混合性結合組織病を最初に提唱したシャープ博士は、この病気の特徴として、SLE、強皮症、多発性筋炎などの症状が重なることと、血清中に抗核抗体の一種の抗U1-RNP抗体がみられることの2点をあげています。
抗U1-RNP抗体が陽性かどうかは、現在も、混合性結合組織病を診断するときの、ポイントのひとつになっています。SLE、多発性筋炎、強皮症の症状の重なり方にはいくつかのパターンがあり、SLE-多発性筋炎-強皮症型、SLE-多発性筋炎型、SLE-強皮症型、多発佳肋炎-強皮症型などに分類されます。

比較的予後のよい病気

混合性結合組織病では、いくつもの膠原病の症状が同時にあらわれますので、悪い病気のような印象をもつ人がいるかもしれません。しかし混合怪結合組織病であらわれる症状は、肺高血圧症など一部の重大なものを除けば、軽いものが多く、ステロイド薬治療がよく効きます。ほかの膠原病と比べると、比較的予後のよい病気なのです。