膠原病

動静脈の血栓症の症状と治療


抗リン脂質抗体症候群では、血栓症は体じゅう、どこの臓器・組織でも起こり得ます。動脈・静脈の血栓症の症状と治療について紹介していきます。
血栓症の特徴と症状

血栓症

静脈の血栓症

おもに四肢、肝臓、腎、副腎、肺、皮膚、目の静脈に血栓症が起こります。上肢の深部静脈に血栓が起こると、肺に飛び、肺梗塞につながることがあります.口の網膜に血栓症があらわれることもあります。

動脈の血栓症

脳梗塞
おもに四肢、脳血管、心臓、腎、肝臓、大動脈、目の動脈に血栓症が起こりますが、圧倒的に多いのは 脳血管障害です 。動脈血栓症の90%以上を占め、若い患者さんであっても、 脳梗塞一過性脳虚血発作になることがあります。
ほかに、四肢に壊症が出たり、目の網膜に血栓症が起こって視力障害になることもあります。抗リン脂質抗体症候群には、これらの血栓症が同時に、複数の臓器で多発する「 劇症型」がまれにみられます。これはたちが悪く、注意が必要です。また、この病気の血栓症は、おさまっても再発するケースが非常に多くなっています。

血栓症の治療

抗凝固薬と抗血小板薬を使用

血液が凝固しないようにする 抗凝固薬(ヘパリン、ワーファリン)と、 抗血小板薬(少量アスピリンなど)を使います。なお静脈の血栓は凝固亢進が中心ですので、抗血小板薬を使う意味はあまりありません。
血栓が下腿に出ている場合は、下肢を上げて安静にしたり、歩くときは弾性ストッキングをはくようにします。

血小板減少症の特徴と症状

少量アスピリンを使用する

血小板は、固まって破れた血管などを修復する働きをする血球なので、これが減少すると、出血などをしても止まらなくなります。
抗リン脂質抗体症候群の人には、20~40%くらいに、この血小板減少がみられます。抗リン脂質抗体症候群の血小板減少は、ほとんどは治療の対象にはならない程度の軽いものですが、少量アスピリンを使用すると血小板の数が上昇して、改善します。