膠原病とは
膠原病という病気は、複雑多岐にわたる病気で、なかなか一言では説明できません。あえていえば 「からだの中の血管と結合組織に炎症がおこる」病気です。血管と結合組織は、からだの中のどこにでもありますから、基本的にはいたるところで病気がおこる可能性があります。
からだのあちこちに炎症をおこす多臓器疾患
そのため、さまざまな症状が一年あまりにわたって出没し、それからようやく治療が開始されるということもあります。また、治療中も薬を減らすとまた症状が出現するといった慢性の経過をたどることも少なくありません。
「膠原病は難病である」といわれるのは、このように慢性の経過をたどり、しかもからだのあちこちに炎症をおこす多臓器疾患だからです。
共通する性質の病気をまとめた呼び名
膠原病とその類縁疾患
※カッコ内は略称
No.01 | 全身性エリテマトーデス(SLE) |
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No.02 | 関節リウマチ(RA) |
No.03 | 強皮症(SSc) |
No.04 | 多発性筋炎/皮膚筋炎(PM/DM) |
No.05 | 結節性多発動脈炎(PN) |
No.06 | リウマチ熱(RF) |
No.07 | 混合性結合組織病(MCTD) |
No.08 | シェーグレン症候群(SS) |
No.09 | ウェゲナー肉芽腫症(WG) |
No.10 | 大動脈炎症候群(高安病) |
No.11 | リウマチ性多発筋病症(PMR) |
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No.12 | 好酸球筋膜炎 |
No.13 | 成人スティル病 |
No.14 | 強直性脊椎炎(AS) |
No.15 | ベーチェット病 |
No.16 | 再発性多発軟骨炎 |
No.17 | ウェーバー・クリスチャン病 |
No.18 | アジュバント病 |
No.19 | 抗リン脂質抗体症候群 |
No.20 | その他 |
膠原病の症状
初期症状に多いのは発熱や関節痛など
膠原病とよばれる病気はいくつもあり、それぞれに特徴は違います。しかし、発病時に現れやすい症状は似ています。発熱や関節痛などは日常的によくみられる症状です。しかし、とくに思い当たることもないのに現れ、なかなか改善しないようなら、膠原病を疑ってみる必要があります。
皮膚や粘膜の異常
膠原病が原因で、皮膚や粘膜に異常が現れることもあります。日常的に悩まされていても、病的とは思わずに見過ごしてしまいがちな症状です。「おかしい」と思ったら原因をチェックしておきましよう。
1.全身症状
風邪をひいたわけでもないのに熟がでて、倦怠感が強い。抗生物質などを服用していても熟が下がらない。そんなときは注意が必要です。
原因不明の発熱が続く
膠原病の発病時にみられる代表的な症状のひとつ。微熱(37cc台)から高熱(38℃以上)まで、発熱の程度はさまざまです。
体重が減る
血管炎症候群などの膠原病では、ダイエットをしているわけでもないのに、急にやせ始めることがあります。
2.関節の症状
あちこちの関節が痛む
どこか1カ所だけというより、手や足、ひざ、肩など複数の関節が痛む傾向があります。
起床後しばらく手が強張って動かしにくい
関節リウマチの初期に現れることが多い症状です。動かしているうちに、しだいにこわばりがとれてくるのが特徴です。
3.筋肉の症状
膠原病のなかには、主に筋肉に障害が現れる病気もあります(多発性筋炎・皮膚筋炎など)。筋力の低下から異変を感じることが多いのですが、痛みをともなうこともあります。
頭を持ち上げるのが大変
頭の重さは5kgほどもあります。首や肩の筋力が衰えると、その重みを支えるだけでも負担を感じるようになります。
しゃがむと立ち上がるのが困難
下半身の筋力が衰えるために起こる現象です。階段の上り下りなどもしにくくなってきます。
4.皮膚症状
全身性エリテマトーデス、強皮症などは、皮膚症状が強く現れる膠原病です。
皮膚に赤い斑点が現れる
顔だけでなく、手足、体幹部などにも現れることがあります。
冷えると皮膚の色が変わる(レイノー現象)
寒冷刺激などによって、指先の毛細血管が急激に収縮するために起こります。多くの膠原病で現れやすい症状です。(※膠原病などの原因疾患がなくても、レイノー現象が生じることもある。この場合は「レイノー病」といわれる)
痛みのないしこりかある
ひじの外側や後頭部、ひざの前部などの皮膚の下に、痛みのない小さなしこりができることがあります。関節リウマチで現れやすい症状のひとつです。
5.粘膜の症状
眼がゴロゴロする
涙をだす分泌腺の障害により涙の量が減ると、角膜や結膜に炎症が起こりやすくなり、眼に違和感が生じます。
ロの中がカラカラ
睡液腺に炎症が起こると、睡液の分泌量が低下して口内が乾燥してしまいます。虫歯にもなりやすくなります。