膠原病

側頭動脈炎の症状と治療


中年の人に多くみられ、側頭部の血管が侵されるために、その部分に痛みがあります。また、食べ物を噛んでいるうちにあごが疲れたり、視力障害が出ることもあります。なかには、リウマチ性多発筋痛症(PMR)という、多発性の筋肉痛を特徴とする病気を合併することがあります。

側頭動脈炎(巨細胞血管炎)
側頭動脈炎の特徴

50歳以上で発病

50歳以上で発病
側頭動脈炎は、「 巨細胞血管炎」とも呼ばれます。病変が起こった血管の壁に多数の核をもつ大型の細胞(多核巨細胞)が集まるため、つけられた名です(なお、巨細胞は高安病でもみられるため、両者とも巨細胞性動脈炎として分類されることがあります)。
側頭動脈炎では、頸動脈とその枝分かれした部分、おもに側頭部の動脈に炎症が起こります。欧米では、もっとも多い血管炎のひとつですが、日本では少ない病気です。発症も50歳以上に限られます。男女差もありません。こういったところは、 高安病とは対照的です。
患者さんの年齢は、側頭動脈炎を診断するうえで決定的な要素になります。症状や血管の造影検査では、高安病と似通っていて、区別しにくいことがあります。
側頭動脈炎の症状

目の症状には要注意

目の症状には要注意
側頭動脈は、こめかみにある動脈です。ここに炎症が起こると、はれた動脈がウネウネと浮いて見えて、押すと痛みます。それとともに熱が出て、頭やくび、肩甲部が痛んだり、肩の硬直なども起こります。体重が減ったり、全身の倦怠感(だるさ)もあらわれます。炎症が目の動脈に及ぶと、目がかすむようになります。重症になると、失明することもあります。
脈が消えることもありますが、高安病とは違い高齢者の病気なので、動脈硬化との区別が難しいところがあります。患者さんの約50%に、リウマチ性多発筋痛症(高齢者に起こる多発性の筋肉痛)の合併がみられます。
側頭動脈炎の治療

ステロイド薬の治療が中心

診断がついたら、治療は迅速に始める必要があります。とくに目の症状が出たら急ぐ必要があります。治療は、高安病の場合と同じくステロイド薬(プレドニン)の治療が中心です。目の症状がある場合は、ステロイドパルス療法や抗凝固療法も検討します。
側頭動脈炎の炎症を抑えるのは比較的容易なので、免疫抑制薬は必要としませんが、ステロイド薬がなかなか減量できないときには、イムランまたは低用量のメソトレキセートを併用します。