結節性多発動脈炎の症状と治療
結節性多発動脈炎は古くから期られている膠原病です。発病率は男女ほぼ同じで、50~60代で多くなっています。早期に治療を始めればステロイド薬がよく効きますが、遅れると重い臓器障害が残ることがあります。
病変が起こった血管がこぶのようになる
クレンペラーが初めて膠原病という病気を提唱したあと、改訂をへて、彼は6つの病気をあげました。この6つは、「
古典的膠原病」と呼ばれますが、その中のひとつが結節性多発動脈炎です。結節性多発動脈炎は専門的にはPNともよばれています。動脈のなかでも、中くらいの太さの血管が侵されやすく、病変が起こった血管がこぶのようになるので、〝結節性″という名がついています。
この病気は、男女比がほぼ等しい点で、ほかの膠原病とは異なります。 好発年齢は50~60歳代です。顕微鏡的多発血管炎やアレルギー性肉芽腫性血管炎、ウェゲナー肉芽腫症は、この病気から分離独立したもので、いわば仲間です。
この病気は、男女比がほぼ等しい点で、ほかの膠原病とは異なります。 好発年齢は50~60歳代です。顕微鏡的多発血管炎やアレルギー性肉芽腫性血管炎、ウェゲナー肉芽腫症は、この病気から分離独立したもので、いわば仲間です。
非常にめずらしい病気
結節性多発動脈炎はきわめてめずらしい病気で、日本の患者数は約3200人(特定疾患申請数‥2000年)しかいません。そのため、診断がつくまでに時間がかかってしまい、重症になることが少なくありません。病気の原因は不明ですが、B型肝炎に続発して起きた例があるため、なんらかの環境要因が関与していることが推測されています。しかし、詳しいことはわかっていません。
ただし、血管の壁には抗原と抗体の結合物である免疫複合体が沈着しているため、何らかの抗原の侵入が病気の発症に関係があるのかもしれません。
ただし、血管の壁には抗原と抗体の結合物である免疫複合体が沈着しているため、何らかの抗原の侵入が病気の発症に関係があるのかもしれません。
結節性多発動脈炎では、全身の動脈がおかされます。障害を起こす臓器は皮膚、筋肉、脳、心臓、腎臓、骨髄、消化管などから、睾丸、卵巣に至るまで。おかされる臓器によってあらわれる症状はさまざまですが、多くの場合、発熱、体重減少、倦怠感、筋肉の痛みや脱力、高血庄(最低血圧90mHg以上)など全身症状から始まります。
病変が皮膚だけの型
病変が皮膚に限局し、内臓障害があらわれないタイプがあります。何年にもわたって慢性的な経過をたどり、紫斑、網の目状の発疹、皮膚潰瘍、色素沈着と陶器のような光沢、皮下結節などがあらわれますこの皮膚型には内臓の障害がないので、予後はよいといえます。
臓器障害による症状
腎臓はよくおかされる臓器で、ここに炎症が起こると最初は血畦が高くなります。不要な排泄物がたまり、尿毒症になることもあります。血管が詰まると、心臓では心筋梗塞、腸では壊死、脳では
脳梗塞が起こることがあり、重篤です。
神経がおかされることもあり、四肢の末端がしびれます.これは神経の栄養血管が詰まったからです。筋肉に起きれば筋肉痛が出ます。
神経がおかされることもあり、四肢の末端がしびれます.これは神経の栄養血管が詰まったからです。筋肉に起きれば筋肉痛が出ます。
治療はステロイド薬が中心
結節性多発動脈炎は、診断がついたら早急に治療を始める必要があります。治療が遅くなるほど、重い臓器障害が残るやっかいな病気なのです。
●治療は、ステロイド薬がよく効きます。とくに早期に使うと、劇的な効果をみせます。プレドニンに換算して1日60~80mgくらいの量が一般的で、症状によっては、ステロイドーパルス療法が行われます。
●ステロイド薬を併用しながら、免疫抑制薬(エンドキサン)の内服、あるいはエンドキサンのパルス投与が行われることもあります。
●腎障害には、血柴交換療法を考慮することがあります
●血管が詰まる閉塞性の病変には、抗凝固薬や、抗血小板薬(パナルジン少量バファリン、ワーファリンなど)がすすめられます。