膠原病

筋炎(多発性筋炎・皮膚筋炎)の治療


筋炎の治療は当初は安静にして、薬物療法を行いますが、安静期が過ぎたらリハビリテーションも重要になります。
筋炎の治療

筋炎は、適正な量のステロイド薬治療を、なるべく早期に始めることが大切です。治療が遅れたり、初期治療でステロイド薬の量が適正でないと、筋萎縮を招き、その後の治療の判断が難しくなります。


●筋炎による萎縮なのか、廃用萎縮(体を動かさないことによる萎縮)なのか、判別が困難。
●ステロイド薬のル王が不十分だったり、逆に十分量が使われたあとに検査すると、筋炎のような症状のあるステロイド筋症が出てまぎらわしく、筋炎そのものの状況が把握しづらい。


上記のようにならないために、初期に診断を確定してから治療します。

安静とリハビリテーション

筋炎のリハビリテーション
筋炎の活動性が高いときには安静が原則です。ただし、筋肉の萎縮を防止する意味で、ストレッチ体操をすることはむしろ望ましいことです。
筋炎が治療によって改善してきたら、少しずつリハビリテーションを開始します。目安は「翌日に疲れが残らない」 くらいであり、しかも血液検査でクレアチンキナーゼ(CK)が上昇しない程度にすることが大切です。また、筋力低下がある間は転倒しやすいので、注意をしてください。嚥下困難があるときには、誤嚥しないように注意しなければなりません。食事もできるだけのみ込みやすいものにしてください。誤嚥すると、肺炎をおこすことがあります。

●初期の安静(約2週間)が過ぎたら、ベッドの上で筋力トレーニングを開始し、起立、歩行訓練へと、だんだん移行していきます。
●ときどきCK値を測り、適正な運動量を把握します。運動後のCK値の上昇の幅が小さく、翌日には前の値に戻るくらいの運動にします。
●関節を動かさないでもできる等尺性運動ならCK値が上がらないので、これを中心に行います。

ステロイド薬

治療の第一選択薬剤はステロイド薬です。体重1kg当たり0.5~1mgのプレドニゾロン(プレドニン)が用いられます。重症例には、ステロイド・パルス療法が行われることもあります。ステロイド薬の初期量は、1カ月前後は継続するのがふつうです。
筋原性酵素が正常化するとステロイド薬の減量が始まりますが、症状や検査所見をみながら1カ月あたり10~20%のペースで行われます。プレドニゾロンが15mg以下でコントロールできない場合は、免疫抑制薬が併用されることがあります。

免疫抑制薬

ステロイド薬だけでコントロールが不可能な場合や、進行性の間質性肺炎などの合併症がある場合には、免疫抑制薬が用いられます。
治療抵抗性の筋炎に対しては、メトトレキサート(メソトレキセート)、アザチオプリン(イムラン、アザニン)などの免疫抑制薬が用いられます。
進行性の間質性肺炎が合併している場合には、シクロホスファミド(エンドキサン)やシクロスポリン(ネオーラル) といった免疫抑制薬が使われます。前者は点滴、後者は経口投与です。

外来での維持治療

初期の入院治療で、病態が軽快したら、外来でステロイド薬の維持量治療を続けます。


●維持量治療中、CK値が上がる場合があります。筋炎の再燃であることが多く、原因は運動のしすぎが多いようです。こういう場合、休息をすれば軽快する可能性があります。
●寛解していた人に、CK値の上昇あるいは脱力症状が再燃したら、プレドニンの量を1日30~40mg(分割内服)に増量したり、メソトレキセートを併用します。これで軽快し、再入院しなくてすむ可能性もあります。