動静脈の血栓症の症状と治療
抗リン脂質抗体症候群では、血栓症は体じゅう、どこの臓器・組織でも起こり得ます。動脈・静脈の血栓症の症状と治療について紹介していきます。
静脈の血栓症
おもに四肢、肝臓、腎、副腎、肺、皮膚、目の静脈に血栓症が起こります。上肢の深部静脈に血栓が起こると、肺に飛び、肺梗塞につながることがあります.口の網膜に血栓症があらわれることもあります。
動脈の血栓症
ほかに、四肢に壊症が出たり、目の網膜に血栓症が起こって視力障害になることもあります。抗リン脂質抗体症候群には、これらの血栓症が同時に、複数の臓器で多発する「 劇症型」がまれにみられます。これはたちが悪く、注意が必要です。また、この病気の血栓症は、おさまっても再発するケースが非常に多くなっています。
抗凝固薬と抗血小板薬を使用
血液が凝固しないようにする
抗凝固薬(ヘパリン、ワーファリン)と、
抗血小板薬(少量アスピリンなど)を使います。なお静脈の血栓は凝固亢進が中心ですので、抗血小板薬を使う意味はあまりありません。
血栓が下腿に出ている場合は、下肢を上げて安静にしたり、歩くときは弾性ストッキングをはくようにします。
血栓が下腿に出ている場合は、下肢を上げて安静にしたり、歩くときは弾性ストッキングをはくようにします。
少量アスピリンを使用する
血小板は、固まって破れた血管などを修復する働きをする血球なので、これが減少すると、出血などをしても止まらなくなります。
抗リン脂質抗体症候群の人には、20~40%くらいに、この血小板減少がみられます。抗リン脂質抗体症候群の血小板減少は、ほとんどは治療の対象にはならない程度の軽いものですが、少量アスピリンを使用すると血小板の数が上昇して、改善します。