膠原病は女性に多い病気
膠原病は、圧倒的に女性に多く、そこには自己免疫疾患であることも影響するようです。女性ホルモンが、自己抗体の働きなどを活性化させると考えられています。
女性ホルモンの影響
なぜ、膠原病は女性に多いのでしょうか?女性を女性らしく保っているのは女性ホルモンです。膠原病のなかでも全身性エリテマトーデス(SLE)では、女性ホルモンが悪さをしているらしいことが推測されています。
そのわけは、この病気は若い女性におこりやすく、しかも妊娠・出産をきっかけに悪化します。たとえば、妊娠中は免疫の働きが抑えられます。男性の精子や、胎児の細胞は、女性にとっては一種の異物となりますので、これを非自己として排除しないように、免疫系があまり働かないようにするのです。一方、出産後に免疫抑制が解除されると、反動で一時的に免疫の働きが高まります。このようなときには、自己免疫疾患が起こりやすくなるといわれます。女性の免疫システムは、このように、男性の場合よりも複雑でデリケートな対応をするため、自己免疫の病気を起こしやすいと思われるのです。
妊娠が病気に与える影響
全身性エリテマトーデスでは、妊娠後期にある程度の、また出産や中絶の直後には明確に、病気が悪化する危険があります。そのため妊娠している患者さんは、リウマチ医と産科医の両方で、診察・治療を受けるのが望ましいです。ただし、ステロイド薬の維持治療を受けていれば危険は少ないといえます。また、関節リウマチは、妊娠中は病気が軽減して治療薬の必要性が減りますが、出産後には悪化しやすいため、薬の治療をすぐに再開する必要があります。
ほかの膠原病では、明確な危険性は知られていませんが、病気が活動期にあるときや、心臓の合併症があるときは、妊娠という負担が患者さんに危険をもたらします。