膠原病

全身性エリテマトーデス(SLE)の治療


全身性エリテマトーデス(SLE)の治療の基本は、副腎皮質ステロイドによる薬物治療です。ただし、長期投与はさまざまな副作用を引きおこすため、患者さんの症状にあわせて、必要最小限の投与を行うのが原則です。

対症療法

病変が皮膚・粘膜や関節にかぎられている場合には、その部位に対症療法が行われます。皮疹に対してはステロイドの外用薬が、関節痛・関節炎には非ステロイド系抗炎症薬の内服がそれぞれ用いられます。

ステロイド療法

軽症の場合


SLEの症状が軽症であっても、対症療法でなかなかよくならない場合には、少量のステロイド薬 (プレドニゾロン換算で20mg/日以下)が用いられます。

中等症の場合


38度以上の発熱、胸膜炎、心腹炎などを伴う中等症の場合には、中等量のステロイド薬 (プレドニゾロン換算で30~40mg/日前後)が用いられます。

重症の場合


精神神経症状、溶血性貧血、出血傾向を伴う血小板減少症、急性間質性肺炎、全身性血管炎などを伴う重症の場合には、大量のステロイド薬(プレドニゾロン換算で50~60mg/日)が用いられます。

ループス腎炎がある場合


ループス腎炎がある場合には、腎臓の生検結果に示される組織型に基づいて、ステロイド薬の投与量が決定されます。また、抗リン脂質抗体症候群の場合には、大量のステロイド薬投与で血栓症を誘発する可能性があります。そのため血小板機能を抑制するアスピリンの少量投与、あるいは抗凝固薬であるワーファリンの併用が行われます。
これらの治療で、十分に効果が得られない場合、あるいは早急にステロイド薬の効果発現を期待する場合には、ステロイド・パルス療法が行われます。

免疫抑制療法

ステロイド薬が無効、あるいは重篤な副作用をおこしたために使用できない場合には、免疫抑制薬が用いられます。免疫抑制薬にはシクロホスファミド(エンドキサン)アザチオプリン(イムラン、アザニン)ミゾリビン(ブレディニン)シクロスポリン(ネオーラル)などがあります。
ループス腎炎などの難治性病態に対してはシクロホスファミド間欠大量点滴療法(エンドキサン・パルス療法)が行われます。この方法はステロイド薬が効きにくい例に効果的なので、最近ではよく行われるようになりました。ただし、注意すべき副作用として、人によって感染症がおこりやすくなることがあげられます。
ミゾリビンは効果も他剤と比べて劣るので、重篤な病態に対しては用いられません。おもに膜性腎症タイプのループス腎炎に対して用いられます。

その他

治療にもかかわらず腎不全が進行するときには、血液透析腹膜透析などの血液浄化療法が行われます。また、なかなか治療効果が出ない場合には血蔣交換療法が行われることもあります。