全身性エリテマトーデス(SLE)とは?
特徴的な皮膚の症状から名づけられた全身性エリテマトーデス(SLE)。日本では、5万人ほどの患者さんがいます。若い女性に多い病気ですが、男性や子ども、中高年の人にも起こります。
全身性エリテマトーデス(SLE)の特徴
これに対して、皮膚だけに円板状の紅斑がみられる場合は 円板状ループス、俗に DLEとよばれています。また、薬剤が原因でSLE様の病態をおこすものを 薬剤起因性ループスといいます。この二つは、SLEとは違う病態であるため、SLEとは区別をしています。
全身性エリテマトーデス(SLE)の経過
SLEは慢性の経過をたどる炎症性の病気で、症状はよくなったり悪くなったりを繰り返すのが特徴です。しかし、治療がうまくいくと、症状がなくなる、いわゆる寛解という状態に入ります。完全に症状がなくなり、しかも検査所見も正常化した状態が完全寛解、症状はなくなったけれど、検査所見が完全には正常化していない状態を部分寛解といいます。ただし、いったん完全寛解になってもその後の治療が不十分だったり、あるいは患者さんが薬をのみ忘れたり、生活態度が乱れたりすると、症状の再発がおこることがあります。これを再燃といいます。
また、病気を火山に例えて、活動期と非活動期に分けることもできます。ときには普賢岳のように噴火を繰り返したり(=活動期)、富士山のように休火山の状態になる(=非活動期)こともあります。ただし、なかなか死火山の状態にはならないのがSLEの特徴で、この病気のむずかしいところです。
全身性エリテマトーデス(SLE)の頻度
発症率の男女比は1対9と 圧倒的に女性が多く、それも20代から30代が発症のピークになっています。ところが、女性が閉経する50代以降の男女比をみると、1対3にまて差が縮まります。世界を見ると、SLEの発症に地域差はなく、特別な環境が発症に関係するとは考えられません。
全身性エリテマトーデス(SLE)の疫学
●発病率
・日本‥10万人あたり3.0人が発症(年間)
・アメリカ‥10万人あたり1.8~7.6人が発症(年間)
●有病率(現在の患者数)
・日本一10万人あたり40人
・アメリカ一10万人あたり14.6~122人(有病率・死亡率ともにアフリカ系、ピスパニック系、アジア系のほうが高く、ヨーロッパ系白人は低い)
●経過・生命予後
1950年代、SLEは5年生存率が50%と、命を奪われる可能性の高い、予後のよくない病気でした。しかし、ステロイド薬が開発され治療に使われるようになって、1990年代半ばには、5年生存率が90%以上となっています。