膠原病

膠原病の発疹


膠原病になると、紅い斑点(紅斑)など、皮膚にさまざまな発疹があらわれます。ここでは、皮膚に紅い斑点(発疹)が出る皮膚疾患「紅斑」を中心に紹介していきます。

かゆみがないのが特徴

発疹も膠原病でよくみられる症状です。ただし、ほかの病気の場合と違ってかゆみがないのが特徴です。じんま疹、かぶれ、虫さされなどでも発疹が出ますが、これらの場合はすべてかゆみを伴います。しかし、膠原病による発疹は痛くもかゆくもありません。
また、その発疹に触ってみると皮膚に根をはった硬さがあるのが特徴です。これを医学的には浸潤性の皮疹とよんでいます。ただし、膠原病の種類によって、発疹が出る場所や発疹の状態は、それぞれ異なります。

紅斑の症状

ここでは、皮膚に紅い斑点(発疹)が出る「紅斑」を中心にみていきます。紅斑の症状は、全身性エリテマトーデス、皮膚筋炎、混合性結合組織病、結節性多発動脈炎、スチル病、ベーチェット病などにあらわれます。病気別の、おもな皮疹の特徴は、以下のようなものです。

全身性エリテマトーデス(SLE)

鼻を中心に、両方のほおに蝶が羽を広げたように紅斑があらわれる「蝶形紅斑」は、特徴的な症状です。ほおが中心で、鼻根部にもみられます。鼻の頭に紅斑が出ることは少ないですが、日光に過敏な人は、日ざしを浴びると反応して出る場合もあります。
また、〝おおかみにかまれたような〟とたとえられる「円板状ループス」(ルーブスとはラテン語で、おおかみという意味)は、全身性エリテマトーデスの10~15%くらいにみられます。隆起した丸い円板状のループス疹は、顔(口唇、外耳道、頭皮にもみられます)だけでなく、四肢にもあらわれます。指先や足に出て、寒さや冷たさにあうと悪化する、凍瘡様ループスという皮疹もあります。
ほかに、血管炎に伴って「網状皮斑」(おもに下腿にあらわれる)や、「紫斑」があらわれる場合もありますっ全身性エリテマトーデスの皮疹は、ほとんどはかゆみがないのですが、ときにかゆくなる場合があります。

蝶形紅斑の写真

蝶形紅斑の写真

円板状ループスの写真

円板状ループスの写真

網状皮斑の写真

網状皮斑の写真

ヘリオトロープ疹の写真

ヘリオトロープ疹の写真

皮膚筋炎

独特の皮膚症状に、ピンクまたは紅紫色の紅斑が上まぶたに出る「ヘリオトロープ疹」があります(ヘリオトロープとは紅紫色の花をつける植物)。また、手の甲側の指関節に、赤紫色(もしくは桃色)の丘疹(ふくらんだ皮疹)=「ゴットロン徴候」が出るのも、皮膚筋炎の重要な特徴です。
皮膚筋炎でも、蝶形紅斑が出る場合がありますが、全身性エリテマトーデスと多発性筋炎とが合併している場合も考えられるので、正しい診断が必要になります。
皮膚筋炎の皮疹は、紅斑とも呼べないような薄い色の皮疹や、とくに治療をしなくても消えるものがある一方で、難治性の場合もあり、日光に当たると悪化するものや、かゆみを伴うものもある、というように、さまざまなあらわれ方をします。小児では、アトピー性皮膚炎とまぎらわしいこともあります。

スチル病

高熱に伴って、サーモンピンク(明るい紅色)の発疹が、胴体、四肢、顔などに、ばらまかれたようにあらわれるのが特徴です。じんましんに似ていますがかゆみはなく、一過性のものです。