ベーチェット病の診断と治療
ベーチェット病の治療は、抗炎症と好中球の抑制、血栓の予防が中心になります。完全型は診断が簡単ですが、不全型の場合には総合的に診断することが必要になります。
不全型の場合には総合的に診断
ベーチェット病の症状は一度にすべて出そろうわけではなく、症状が出たり引っ込んだりすることがよくみられます。診断の補助としては、 HLA抗原検査があります。ベーチェット病の患者さんでは HLA-B51という特殊なタイプの抗原をもっている人が多くみられるためです。また、針反応とよばれる試験も急性期には陽性になります。生理食塩水をツベルクリン反応と同じ要領で前腕の内側に接種すると、注射したところに一致して発赤ができ、まん中に膿がたまります。
治療にまず大切なのは、安静を守ってストレスを避けることです。その意味で入院は最適です。
局所療法
アフタや発疹に対しては、ステロイドの入った軟膏が用いられます。とくにアフタにはアフタッチの貼付やケナログ軟膏の塗布が行われます。
眼科的処置
ステロイドの内服薬は一時的には効果がありますが、減量するとかえって症状が悪化することもあり、なるべく使用しないで様子をみます。眼の炎症が強いときは、 コルヒチンという痛風発作に用いられる薬や、場合によっては シクロホスファミド(エンドキサン)などの免疫抑制薬も使われることがあります。また、 シクロスポリン(サンディミュン)が眼発作を抑えるのに有効とされています。
一般的処置
微熱、関節痛などの症状に対しては非ステロイド系抗炎症薬が用いられ、とくにインドメサシン系の薬がよく使われます。それでも十分な効果が出ない場合にはステロイド薬が使用されます。関節炎に対してはサラゾスルファピリジン(サラゾピリン)が有効です。
特殊型ベーチェット病に対する治療
腸管型ベーチェット病の場合には、絶食と中心静脈栄養が行われます。また、サラゾスルファピリジン(サラゾピリン)の経口投与も有効です。症状がきわめて強いときはステロイド薬も使用されますが、腸に穴があく腸管穿孔などが起こりやすくなるので注意が必要です。
血管ベーチェット病に対する治療
血栓症が多くおこるため、抗凝固療法が行われます。このために、急性期にはヘパリンの点滴が、慢性期にはワーファリンやアスピリンの経口投与が行われます。症状が強い場合には、ステロイド薬も積極的に用いられます。
中枢神経ベーチェット病の治療
この場合には、積極的にステロイド薬が用いられます。それでも効果が得られない場合には、免疫抑制薬が用いられます。